<事例>
Aさんは所有する土地XをBさんに売却する契約を7月1日に締結しました。
売買価格は5000万円でしたが、契約当日は手付金の1000万円しか
受け取りませんでした。
残金の4000万円は、2週間後に受け取る約束でした。
しかし、Aさんは残金4000万円を受け取る期日の前に急死しました。
その後、Aさんの相続人であるCさんは残金4000万円を受け取り
土地XをBさんに引き渡しました。
この場合、土地Xに関する相続税の申告と所得税の申告について
教えてください
<解説>
今回の事例では、相続税に関する論点と譲渡所得に関する論点がありますので
別々に解説いたします
まず、相続税に関する論点ですがそもそも相続税の課税対象となる財産は
土地Xなのか、未収代金4000万円の請求権なのかという点がポイントになります
つまり、未収代金の請求権であれば相続財産の評価は4000万円になりますが
土地Xが課税対象の財産であれば路線価に基づき評価すると評価額が
4000万円を下回る可能性が高いと考えられます。
相続人Cさんとしては、少しでも相続税を少なくしたいと考えるので
当然土地Xを相続税の課税対象財産と考えたいところです。
しかし、この点につきましてはバブル期に問題となったために
昭和61年に相続税の課税対象財産は、「残代金請求権」であるとの
最高裁の判例があります。
従いまして、今回の事例では4000万円の残代金請求権を
相続税の課税対象財産とします
次に、譲渡所得の申告ですがAさんの準確定申告として申告する
方法と、相続人Cさんが確定申告で申告する方法と2通りあります
Aさんの準確定申告として申告する場合の留意点は以下のとおりです
1.準確定申告の結果計算された所得税額は、相続税の計算上債務として
扱われます。
2.次に住民税の課税ですが、住民税は翌年1月1日にAさんは生存していません
ので土地Xの譲渡に伴う住民税の課税はされません
次に土地Xの譲渡所得を引渡日を基準としてCが確定申告する場合の
留意点は以下の通りです
1.Aさんの相続税の一部を土地Xの取得費に加算できます
この特例の詳細につきましては下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3267.htm
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