<事例>
兄弟ABは、15年前に父親から相続した土地甲と乙をそれぞれ
1/2づつ割合で共有しています。
土地甲と乙は、それぞれ月極め駐車場として利用しており
サラリーマンであるABの副収入となっています。
土地甲と乙は、ほぼ同じ面積で所在地も近いことから時価も
ほぼ同額です。
この度長男Aは、2世帯住宅建築資金を得るために土地の売却
を検討しています。しかし、甲乙いずれも共有持分であるため
ABの所有する甲乙の持分を、それぞれ交換してから売却しようと
考えています。
このような場合に、交換の特例の適用は可能でしょうか?
<解説>
所得税法58条の交換特例の適用要件につきましては
前回のメルマガでご案内いたしました。
詳しくは、下記URLでご確認ください。
http://mbp-kobe.com/kobe-souzoku/column/28544/
さて、今回の事例についてあてはめてみますと
問題になるのは、土地甲乙を交換後に長男Aが売却を考えている
ということです。
この場合に、前回の記事で紹介した交換特例適用要件の(5)
つまり、「交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の
用途と同じ用途に使用すること。」という要件を満たさないのでは
ないか、という心配があります。
この点について、所得税基本通達58-8には以下の様に定めています。
『固定資産を交換した場合において、取得資産をその交換の日の属する
年分の確定申告書の提出期限までに譲渡資産の譲渡直前の用途と同一
の用途に供したときは、交換特例の規定を適用することができるもの
とする。』
したがって、今回の事例の場合では長男Aは甲乙土地の持分を
交換した後に、いったん月極め駐車場の経営を継続しておけば
その後、売却したとしても交換特例は適用できると考えられます。
さらに、今回の様な事例の場合には「特定事業用資産の交換の
特例」を適用できる場合もあるので検討しておく必要があります。
ただし、所得税法58条の交換特例では交換資産の時価がほぼ
同額である今回の場合、所得税は課税されませんが
「特定事業用資産の交換の特例」では、交換差金のない等価交換
であっても収入および取得費を譲渡資産の20%で計算した金額
で譲渡所得を計算することに留意する必要があります。
(等価交換の場合でも必ず税額発生してしまうということです。)
また、交換により取得した資産を取得した日から1年以内に事業
(今回は月極め駐車場)として使わなければなりません。
さらに、交換により取得した資産を取得してから1年以内に事業に
使用しなくなった場合は、原則として特例は受けられません。
つまり、今回のように交換後直ちに売却を予定している場合には
「特定事業用資産の交換の特例」は、適用できません。
固定資産の交換・買換えの特例は複雑な税法の判断が必要です
実際に実行するに当たっては、慎重な判断が必要となります。
この記事以外にも、下記URLのマイベストプロ神戸に私のコラムの
書込みをしていますのでご覧ください
http://mbp-kobe.com/kobe-souzoku/column/
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