信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。
その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。
中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。
以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。
【事例-26 資本的劣後ローンを活用した返済スケジュールとは】
<概況>
債務者は、当金庫メイン先(シェア90%、与信額:平成15年3月
決算期500百万円)主に食料品を扱うスーパーを現在4店舗を
営んでいる。
<業況>
店舗別の業況をみると、2店舗については概ね黒字を達成している
ものの、残りの2店舗については、近隣に大手小売店が新店舗を開店
した影響を受けて売上が落ち込み、また、店舗取得時の借入負担が
重いこともあって、前期末まで3期連続して大幅な赤字、小幅な
資産超過の状況となっていた。
このような中で、当金庫は、債務者の経営支援を図る目的から、
元本返済猶予(300百万円)を行ってきており、当該債権については、
貸出条件緩和債権としてきた。 今般、当金庫は、同社の経営再建を
図るため、同社と協力して、不採算店舗の閉鎖及び店舗建物の処分、
全面的なコスト削減措置の実施、営業体制の抜本的な見直し、役員
やその親族に対する報酬・給与の制限等を中心とした合理的かつ
実現性の高い経営改善計画を策定した。
また、この計画にあたっては、同社に対する債権の一部
(不採算店舗の閉鎖による特別損失計上により今期末債務超過部分の
75百万円)を一定の条件を付した債権(以下「資本的劣後ローン
(早期経営改善特例型)」という)に転換することを約した。
(注)一定の条件について
(1)資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)についての契約が、
金融機関と債務者との間で双方合意の上、締結されていること
(2)資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)の返済(デフォルトによらない)
については、資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)への転換時に
存在する他の全ての債権及び計画中に新たに発生することが予定
されている債権が完済された後に償還が開始すること
(3)債務者にデフォルトが生じた場合、金融機関の資本的劣後ローン
(早期経営改善特例型)の請求権の効力は、他の全ての債権が弁済
された後に生ずること
(4)債務者が金融機関に対して財務状況の開示を約していること及び、
金融機関が債務者のキャッシュフローに対して一定の関与ができる権利
を有していること
(5)資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)が、(4)その他の
約定違反により、期限の利益を喪失した場合には、債務者が当該金融機関
に有する全ての債務について、期限の利益を喪失すること
<自己査定>
当金庫は、債務者の信用リスクの分析にあたって、転換後の資本的
劣後ローン(早期経営改善特例型)を資本とみなし、経営改善計画を
勘案し、債務者区分については要注意先とした。
また、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画が策定されている
ことから、資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)及び残債について
貸出条件緩和債権に該当しないものとした。
なお、当金庫は資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)の引当て
については、「銀行等金融機関の保有する貸出債権が資本的劣後ローン
に転換された場合の会計処理に関する監査上の取り扱い」
(平成16年11月2日日本公認会計士協会)のうち、準株式法により、
100%の引当を実施している。
<検証ポイント>
要注意(要管理)先債務者において、経営再建計画に沿って、既存の
債務を資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)に転換した場合の取扱い
(解説)
1.本事例において、当該資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)
については、検証ポイント(7.資本的劣後ローンの取扱い)の要件を全て
満たしているのであれば、債務者区分や貸出条件緩和債権の判断において、
当該資本的劣後ローン(早期経営改善特例型)を当該債務者の資本として
みなすことができると考えられる。
債務者区分については、その財務内容は、資本的劣後ローン
(早期経営改善特例型)を資本としてみなせば、問題がある状況にはない
ものの、業況については、事業再生が緒についたばかりであり、良好とは
いえないことから、要注意先に相当する可能性が高いと考えられる。
2.また、貸出条件緩和債権の判断に当たっては、資本的劣後ローン
(早期経営改善特例型)を資本とみなすためには合理的かつ実現可能性の
高い経営改善計画の策定が要件となっており、一方でこうした計画が策定
されていれば、原則として貸出条件緩和債権の卒業基準を満たすことになる
ことから、貸出条件緩和債権には該当しないものと考えられる。
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今回のポイントは、資本的劣後ローンです。再生支援協議会の
支援スキームにも資本的劣後ローンを活用したスキームが紹介されている
用です。
この記事以外にも、下記URLのマイベストプロ神戸に私のコラムの
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