<事例>
被相続人Aさんは、株式会社Xの取締役でした。この度急病により
亡くなりました。Aさんの法定相続人は、配偶者のBさんと長男C長女Dです。
株式会社Xは、役員退職金規定に基づき死亡退職金9000万円を、配偶者である
Bさんに支給することを決定しました。Bさんへの死亡退職金の支給も
申告期限までに間に合いそうです。
しかし、他の相続財産(4億円)の遺産分割協議が相続税の申告期限までに
間に合う目途が立ちそうにありません。この場合、Aさんの死亡退職金のに
対する相続税の課税は、どのような扱いになるのでしょうか?
<解説>
そもそも、生命保険金や退職金等は、民法上の相続財産とは考えられて
いません。しかし、相続税の計算上は生命保険金や退職金等を相続によって
所得したとみなされる財産です。このような財産を「みなし相続財産」といいます。
「みなし相続財産」は、他の相続財産の遺産分割が成立していなくても
本来の受取人(受給者)固有の財産と考えられます。
つまり、今回の事例の場合も4億円のAさんの遺産について、遺産分割は
成立していませんが、死亡退職金9000万円は、配偶者であるBさん固有の財産で
あることから、死亡退職金9000万円について未分割と考える必要はありません。
(根拠条文:相続税法基本通達55-2)
死亡退職金につきましては、500万円×法定相続人の数だけ非課税限度額が
設けられています。今回の事例では、500万円×3=1500万円が非課税となりますので
9000万円-1500万円=7500万円が、相続税の課税対象財産となります。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4117.htm
従いまして、未分割財産4億円のうち配偶者であるBさんは法定相続分
2億円を取得したものとし、さらにみなし相続財産である死亡退職金
のうち7500万円を加算して相続税の申告をすることになります。
なお、今回の事例では死亡退職金の受給者が申告期限までに決定し
支給されましたが、仮に死亡退職金の受給者を法人側で決定せず
相続人側でも決定しない場合には、相続人全員が均等に取得したものとして
取り扱います。(根拠条文:相続税法基本通達3-25)
したがいまして、仮に今回の事例で9000万円の死亡退職金の
受給者が法人側でも相続人側でも決定していない場合には、B,C,Dが
3000万円づつ取得したものとして相続税の申告を行います。
これは、死亡退職金はみなし相続財産であって民法でさだめる相続財産では
ないことから、法定相続分ではなく相続人の人数に応じて均等に分ける
ことを定めています。
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