<事例>
今回は、生計を一にする母親のために住宅を買換えた場合の買換特例の
摘要について確認します。
Aは平成元年にに父親から相続により取得した自宅で母親と同居していました。
その後、平成20年にAは転勤のため会社の社宅に転居をしましたが
母親の生活費はすべてAが負担していました。
しかし、最近では母親が生活しているA名義の自宅も老朽化が進んだことと
Aの転勤生活もあと5年の目途がついていることから、現在のA名義の自宅
近くに自宅を買換えることにしました。
新しい自宅には引続き母親だけが生活しますが、5年後に転勤生活が
終わればAの家族とともに母親と同居する予定でいます。
さて、このような事例の場合に居住用財産の買換特例は適用できるでしょうか・
<解説>
今回の事例では、論点が以下のとおり2つあります
1.生計を一にする母親が一人暮らしをしているA名義の自宅は、
買換特例の適用対象になるか?
2.買換える新居は、当分の間母親が一人暮らしをする予定で
いつからAが同居するのかはまだ確定していない状況で
買換特例の適用対象になるか?
まず、1つ目の論点ですが生計を一にするAの母親が生活をしている
A名義の自宅は、買換特例の適用対象となります。
根拠は、措置法通達31の3-6に規定されています
ポイントは以下の2点です
(1) 当該家屋は、当該所有者が従来その所有者としてその居住の用に供して
いた家屋であること。
⇒Aは父親から相続により取得して平成元年から20年まで居住の用に供していました。
(2) 当該家屋は、当該所有者が当該家屋をその居住の用に供さなくなった日
以後引き続きその生計を一にする親族の居住の用に供している家屋であること。
⇒Aは母親の生活費をすべて負担していました。
(3)(4)の内容は今回は割愛します
次に2つ目の論点ですが、今回の事例の場合は残念ながら該当しません
根拠は、措置法通達36の2-17に規定されています
ポイントは以下のとおりです
『買換資産を当該個人の居住の用に供したかどうかについては、
買換資産である土地等については、当該土地等の上にあるその者の有する家屋
をその者が居住の用に供したときに、当該個人の居住の用に供したことになる
ことに留意する。』
⇒今回の事例では、Aが新居で生活するのは5年以上先の予定なので該当しません
以上より、今回の事例では買換特例を適用できません。
自宅を買換えする際の税務は、複雑ですので十分にご注意ください
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