信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。
その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。
中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。
以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。
【事例-17 借入金の返済条件を見直していても正常先と判定される場合とは? 】
<概況>
債務者は、当行準メイン先(シェア26%,与信額:平成13年12月
決算期126百万円、総借入額 485百万円)。賃貸ビル(築16年前後を
2棟を所有している個人事業者である(年齢 50 歳)。
<業況>
当行は 16 年前、当該ビル1棟の建設資金に応需して取引を開始
(当初借入 200百万円)している。
当該ビルは、立地条件の悪さからテナントの入居率が不安定で、
賃料入金の遅れが度々発生している。加えて昨今の景気低迷により、
テナント料の引き下げを余儀なくされ、債務者の賃料収入は年々
減少傾向にある。このため、直近2年間は当初の元本の約定返済額
を大幅に減額(約 70%減)し、かつ最終期日に元本しわ寄せ
(当初借入額の約 50%相当)とする条件変更を実施している。
<自己査定>
当行は、現在元本・利息共に延滞なく返済されていること、
決算書上も赤字が発生していないことから、正常先としている
<検証ポイント>
貸出条件の変更に至った要因の検討について
<解説>
1.中小・零細企業等の債務者区分の判断に当たっては、貸出条件
の履行状況も大きな判断要素のひとつである。したがって、本事例
の場合のように、元本の約定返済額を減額しているなど貸出条件の
変更を実施している債務者については、当該変更に至った要因を
十分検討する必要がある。
2.本事例の場合、収益物件の立地条件の悪さ、築年数の経過や
景気低迷によるテナント料の引き下げ等の理由から収益力が低下
しており、当初約定返済額に比べて返済原資が不足していること
から、債務者が支払える程度まで約定返済額を減額したものと
考えられ、いわば債務者の返済能力に問題が生じたことに伴う
条件変更であると考えられ、要注意先以下に相当する可能性が
高いと考えられる。
3.なお、例えば、当初からの融資契約等により、賃貸ビル建設等
のつなぎ資金をビル完成後に短期の期日一括返済から通常の借入
期間にわたる分割返済に貸出条件を変更する場合など、上記事例
とは異なり債務者の返済能力等に問題が生じたことにより実施される
条件変更ではない場合や、返済能力に対応し、通常の借入期間の
範囲内で返済条件、返済期間を変更している場合には、原則として
貸出条件及び履行状況に問題はないと考えられる。
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今日のポイントは、債務者の返済能力等に問題が生じたことに
より実施される条件変更ではない場合や、返済能力に対応し、
通常の借入期間の範囲内で返済条件、返済期間を変更している
場合には、原則として貸出条件及び履行状況に問題はないと考え
られるということです。
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