【銀行交渉のポイント編-2】信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに当たって
金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。
その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行(信用金庫・地銀)
が融資するかどうかを判断したポイントと、その判断基準の適否について
解説が記載されています。この【銀行交渉のポイント編では】
27パターンの事例を紹介します中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくとわかりやすいと思います。
以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から書かれた内容なので
この文中で債務者と表現されているのは、一般の中小企業のことです。
【事例2 多額の代表者報酬により赤字となっている場合の銀行の判断について】
【概況】
債務者は、当信金メイン先(シェア 55%、与信額:平成 13 年 3 月決算期 100
百万円)。地元スーパー等を主な顧客とした広告代理業を営む業歴 10 年超の会社
であり、当信金とは創業当時から取引がある。
【業況】
最近の景気低迷等の影響から売上は横ばいとなっており、2 期連続して赤字を計
上し、繰越欠損金(30 百万円)を抱えている。当金庫は、経常運転資金に加え、
5 年前に事務所改装資金に応需している。債務者の赤字は、売上が低迷している中
においても、相変わらず多額の代表者報酬や支払家賃を計上していることが主な要
因である。当金庫は、今期、代表者報酬の削減について強く指導していく方針を持
っている。なお、現在まで延滞や条件変更の発生はない。
【自己査定】
当金庫は、現状、多額の代表者報酬が赤字の原因であり、返済は正常に行なわれ
ていることから、正常先としている。
【検証ポイント】
多額の代表者報酬により赤字となっていることについて
【解説】
1.中小・零細企業等の債務者区分の判断に当たっては、その業種にもよるが、販売コ
ストの大部分を代表者等に対する報酬や家賃の支払いが占める場合があり、こうし
た場合、代表者等に対する報酬の多寡が売上の増減と相俟って、債務者の決算に大
きな影響を及ぼすことになる。
したがって、中小・零細企業等の場合、赤字・債務超過が直ちに、要注意先以下の
債務者区分であるとすることなく、赤字の発生原因や金融機関への返済状況、返済
財源について確認する必要がある。
2.本事例の場合、赤字の要因が多額の代表者報酬等にあるとされているが、このこと
が財務諸表等により確認ができ、かつ、当信金への返済が代表者個人の資産から賄
われており、今後とも返済が正常に行なわれていく可能性が高いならば、正常先に
相当する可能性が高いと考えられる。
3.なお、その際には、代表者個人の収支状況、借入金、第三者への保証債務の有無等
について確認する必要がある。
仮に、代表者個人の収支や借入金等の状況から、今後の約定返済に支障をきたす
と認められる場合には、要注意先以下に相当するかを検討する必要がある。
また、その確認に当たっては、代表者の確定申告書、他金融機関、ローン会社等
の抵当権の設定状況等に基づき行うことが考えられる。
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今回の内容は、決算書が赤字でもその赤字の原因によって
決算書の評価が一律ではないことが判ります。
皆さんも、自社の決算書をじっくりと分析してみましょう。
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